無効なトラフィック(IVT)とは?
Googleの定義によると、無効なトラフィック(IVT:Invalid Traffic)とは、実際の(購買意欲のある)人間のユーザーの活動に基づかない、ボットなどによって自動的に生成されたすべての広告インプレッションやクリック活動を指す総称です。誤ってクリックされた広告に加え、人間以外によるトラフィック(NHT:Non-Human Traffic)のすべてが含まれます。
広告主やパブリッシャーは、潜在顧客となる消費者に広告を見てもらい、クリックを通じてWebサイトに誘導し、コンバージョンにつなげることを目指しています。しかし、人間以外のトラフィック(NHT)は、ボットが広告をクリックするだけで顧客にはなり得ないため、広告主のコストを不必要に押し上げる原因になります。
当社のデータによると、世界のオンライン広告トラフィックの約57%がボットによるものであり、無効なトラフィックに該当します。他の調査では、その割合は 42% から 64% と推定されています。正確な数値を特定するのは困難ですが、すべての分析から明らかなのは、ボットが世界中のインターネットトラフィックの約50%という、かなりの割合を占めているという点です。
無効なトラフィックの種類とは?
無効なトラフィックは、必ずしも悪質なボットによるものとは限らず、詐欺(フラウド)に直接関係のないものもあります。基本的には、一般的に無効なトラフィック(GIVT)と、高度に巧妙な無効なトラフィック(SIVT)の2種類に分類されます。
一般的に無効なトラフィック(GIVT)
一般的に無効なトラフィック(GIVT:General Invalid Traffic)は、検索エンジンのクローラーなどの「無害な」ボットがWebサイトにアクセスした際に発生します。これらのボットは自らをボットとして識別させており、通常は一般的なボットリスト( IAB/ABC International Spider and Bots Listなど)に登録されています。そのため、WebマスターはGIVTを簡単に見つけ出し、データから除外できます。
GIVTの主なカテゴリは以下の通りです。
検索エンジンのクローラー
検索エンジンは、特別なボット(クローラー)を使用してインターネットを巡回し、新しいコンテンツを検出して検索結果に表示します。このタイプのIVTは、Webサイト運営者にとっても有益なものです。
検索エンジンのクローラーは、人間以外であることを明確に示しているため、簡単にフィルタリングできます。
ボットおよび既知のクローラー
既知のウェブクローラーは自身を人間以外として識別するため、特定とフィルタリングが容易です。検索エンジンのクローラーに似ており、研究目的や価格比較などに使用されます。
もう一つの例として、あらゆる種類の監視ツールが挙げられます。SEOツール(Searchmetrics、SEMrush、Ahrefsなど)や、サーバーの稼働状況を監視するアップタイム監視ツールなどは、特定しやすい「優良な」無効なトラフィックの一部です。
データセンター
人間以外のトラフィックに関連するIPアドレスがデータセンターのものである場合、それはボットトラフィックの明確な兆候です。公式にリスト登録されているデータセンターは、さまざまなボットリストに掲載されており、IPアドレスも特定されています。
重複クリックと誤クリック
広告の重複クリックや誤クリックもGIVTとみなされます。これらは広告ネットワークによって精度高く検出されるため、通常、広告主がこれらのクリックに対して費用を支払う必要はありません。
高度に巧妙な無効なトラフィック(SIVT)
不正な操作に基づく可能性のあるトラフィックは、SIVT(Sophisticated Invalid Traffic)に分類されます。これらは悪意を持って操作・生成されているため、自身を無効なトラフィックとして識別させません。それどころか、あらゆる手段を使って人間のトラフィックを装おうとします。
広告主はSIVTによって、広告予算の一部を失うことになります。悪質なボットは特定が難しく、深刻な問題を引き起こす可能性があります。以下にSIVTの例をご紹介します。
高度なボット
ボットの作成者は、人間の行動をリアルに模倣しようとします。たとえば、ボットはCookieバナーへの同意やCookieの保存、ページのスクロール、マウスの移動、フォームへの入力など、さまざまな方法でWebページを操作できます。
不正行為者の目的は、ボットを本物のユーザーに見せかけることです。これにより、自身が運営するWebサイトの広告をクリックさせ、不正に広告収入を得ようとします。
隠し広告 / アドスタッキング
アドスタッキングは、最も一般的なアドフラウド(広告詐欺)の一つです。一つの広告枠に複数の広告を重ねて配置し、ユーザーには一番上の広告しか見えないようにします。1回クリックするだけで重ねられたすべての広告がクリックされたことになり、実際には見られていない隠し広告に対しても、すべての広告主が費用を支払わされることになります。
クッキースタッフィング
クッキースタッフィングは、Cookieを使ってエンドデバイスに不正なマークを付ける行為です。このアフィリエイト詐欺では、ユーザーがページを開いた際にアフィリエイトやWebサイトがバックグラウンドで数百ものCookieを強制的に設定し、後にユーザーがコンバージョンした際に報酬をだまし取ります。
ユーザーが対応するアフィリエイトや広告リンクをクリック(購買意欲を表明)していないにもかかわらず、Cookieが勝手に付与される点が特徴です。
アフィリエイトマーケティング詐欺の詳細は、こちらの記事をご覧ください: アフィリエイトマーケティング詐欺とは
スクレイパーボット
コンテンツスクレイパーや価格スクレイパーなどのスクレイパーボットは、Webサイトから特定の情報を抽出するために使用されます。多くの場合、不当な競争優位性を得ようとする競合他社によって使用されます。抽出されたデータは、自社製品の価格調整に利用されたり、画像や商品説明を無断コピーして自社サイトの制作コストを削減するために悪用されたりします。
自動リロード / 自動更新
ユーザーが何も操作しなくても、広告枠が常に再読み込みされ、大量の広告インプレッションが生成される仕組みです。広告の自動リロード自体は違法ではありませんが、各広告は一定時間表示される必要があります。リロードが早すぎる場合、無効なインプレッションとみなされることがあります。
プロキシトラフィック
プロキシやVPNは、不正行為者に匿名性を与え、不正トラフィックの偽装を容易にします。IPアドレスを頻繁に変更することで、一般的なWebサイトのセキュリティ機能によるブロックを回避します。
ただし、VPNは一般の多くのユーザーも利用しているため、すべてのVPNトラフィックが有害とは限りません。
クリックファーム
SIVTの原因は自動化されたボットだけではありません。クリックファームとは、ネット上の広告をクリックしたり、SNSの投稿をシェアしたり、コメントを書き込んだりする組織化された作業員グループのことです。トラフィックを生成しているのは実在の人間ですが、購買意欲は一切ありません。
クリックファームの詳細は、こちらの記事をご覧ください: クリックファームとは?
競合他社によるクリック詐欺
競合他社の広告をクリックする行為は、主に相手のビジネスを妨害するために行われます。Google広告などのキャンペーンではクリックごとに課金されるため、競合他社が意図的にクリックを繰り返すと、相手の(一日の)予算がすぐに消化されてしまいます。予算が上限に達すると、競合他社の広告は表示されなくなります。
ドメインスプーフィング
ドメインスプーフィングとは、広告ネットワークに送信するドメイン情報を不正に偽装する手法です。広告ネットワーク側は、ドメインA(高単価なWebサイト)用の広告がリクエストされていると認識しますが、実際にはドメインB(詐欺師の偽サイト)に広告が表示されています。
多くの場合、より高いクリック単価を獲得することを目的として行われます。
DDoS攻撃
DDoS攻撃(分散サービス妨害攻撃)は、ネットワークやオンラインサービスに意図的に負荷をかけ、企業の業務を妨害する攻撃です。ITインフラへの集中的なアクセスにより、サーバーやサービスを強制的に停止させます。
不正に操作されたユーザー行動
この手法は、低品質なアプリや偽アプリで特によく見られます。ユーザーがアプリをインストールすると、本人が気づかないうちにバックグラウンドで広告が読み込まれ、クリックされます。
また、アプリを操作している最中に、ユーザーが気づかないうちに広告をクリックさせられるケースもあります。広告が目に見えない形でアプリの上に重ねられているため、アプリをタップするたびに広告をクリックしたことになってしまいます。
無効なトラフィック(IVT)が企業に与える損失
無効なトラフィックは、企業にとって単なる「厄介な問題」にとどまりません。その被害は多岐にわたるため、決して過小評価すべきではありません。
無効なトラフィック自体は必ずしも犯罪行為ではありませんが、一般的に無効なトラフィック(GIVT)であっても不要なコストが発生し、予算を圧迫する原因になります。
Juniper Researchの推計によると、2022年のアドフラウドによる 世界全体の被害額は680億ドル に達し、その大部分が無効なトラフィックによるものとされています。一部の専門家は、実際の被害額はこれを大幅に上回ると指摘しています。
パブリッシャーにおけるIVTの被害
無効なトラフィックは、広告主のコスト負担や広告効果の低下を招くだけでなく、パブリッシャーにとっても深刻な脅威となっています。
主な影響として、分析データが歪められ、重要な意思決定を行うためのデータ基盤が損なわれることが挙げられます。
さらに深刻なのは、広告枠の価値が下がることです。広告主が無効なトラフィックを検知した場合、そのパブリッシャーのWebサイトをブロックリストに登録することがあります。最悪の場合、Googleなどの広告ネットワークに無効なトラフィックと判定され、パブリッシャーのアカウント自体が停止されるリスクもあります。
これらの問題を防ぐ最も効果的な対策は、専用ツールを導入して無効なトラフィックを自動的に排除することです。
広告主におけるIVTの被害
広告主が無効なトラフィックから受けるマイナスの影響は、パブリッシャーよりもさらに深刻で、大きく3つのカテゴリに分けられます。
広告費の無駄遣い
ボットによる偽クリックは広告予算を消化するだけで、顧客の獲得には一切つながりません。また、ボットが人間の行動を模倣するため、リマーケティングリストの精度が下がり(フェイクリマーケティング)、さらに広告予算が無駄になります。ターゲット層のデータが汚染されることで、広告キャンペーンの最適化が極めて困難になります。
分析データの汚染
ボットは本物のユーザーのような閲覧履歴を偽装し、Cookieバナーにも同意できるようになっています。これにより、Webサイトの統計データやオプトイン率が歪められ、信頼性の低いデータが蓄積されてしまいます。
ファネルの汚染
CAPTCHA付きのフォームであっても、現在の高度なボットは簡単に突破してしまいます。その結果、顧客管理システム(CRM)に偽のリードや誤ったデータが登録されるケースが増えています。これにより営業チームに不要な負担がかかり、本物のユーザーとボットを選別する作業に追われることになります。
無効なトラフィックの影響は非常に広範囲に及ぶため、詳細をまとめた専用の記事をご用意しています: 無効なトラフィックがマーケティングに与える影響
アナリティクスデータで無効なトラフィックを検出する
無効なトラフィックを事前に検知してブロックできれば、広告主の損失を防ぐことができます。多くの場合、アクセス解析ツール(Googleアナリティクスなど)のデータを確認するだけで、ボット活動の初期の兆候を掴むことが可能です。定期的に自社のデータを分析することは、IVT対策の重要な一歩となります。
無効なトラフィックは、以下の指標から特定できます。
セッション時間:ボットはクリック直後に離脱するため、セッション時間は通常「0秒」になります。
直帰率:人間の行動パターンは多様ですが、ボットは常にプログラムされた通りに動きます。直帰率が「0%」または「100%」である場合は、ボットトラフィックの強い兆候です。
不自然な地域:ターゲット市場ではない国や地域からのアクセスです。たとえば、途上国からの突発的なトラフィックは、クリックファームの可能性があります。
不自然なトラフィックパターン:夜間の急激なトラフィックの増加や突発的なピークは、明確な危険信号です。
不自然な参照元トラフィック:見慣れない参照元や不審なソースからのアクセスは、一般に公開されていないサイトや不適切なドメインに広告が掲載されている可能性を示しています。
自社のアナリティクスデータを使ったボットの検出方法について詳しくは、こちらの解説記事をご覧ください: アナリティクスデータを使ってボットを検出する方法
無効なトラフィックをブロックする
高い直帰率、不自然な参照元、極端に短いセッション時間などの兆候が見られる場合、それは無効なトラフィックの可能性があります。広告主はこれによる損失を甘んじて受け入れる必要はありませんが、被害を軽視するべきでもありません。不正行為者の活動を抑え、広告予算を守るための対策が必要です。
IVTへの対策は容易ではありません。手動での対策には多大な時間とコストがかかり、完全にブロックすることは困難です。また、手動の対策は予算が消費された後に行う「事後対応」にならざるを得ません。重要なのは、予算を失う前に防ぐ「事前防止」であり、初期段階で有害なボットトラフィックを確実に遮断することです。
高い効果を得るには、リアルタイムで機能するボット検知が必要です。手動と自動の対策を組み合わせた総合的なアプローチをお勧めします。具体的な対策例は以下の通りです。
広告チャネルでのIPブロックリストの設定
パブリッシャーを手動で確認し、必要に応じて除外
キャンペーンの配信地域を制限
アナリティクスデータの定期的な確認
警告システムの導入と、異常検知時の迅速な対応
強固なセキュリティを確保するためには、無効なトラフィックを高い精度で検知し、能動的に回避できるツールの導入が不可欠です。
まとめ:IVTから広告予算を守る
無効なトラフィックは複雑な問題であり、さまざまな形態で発生します。特に、不正な意図を持つSIVTは、毎年世界中で巨額の損失をもたらしています。
企業への悪影響は多岐にわたるため、適切な対策をとることが極めて重要です。しかし、手動の対策には限界があります。広告予算を確実に守るためには、リアルタイムでIVTを検知してブロックできる専用ソフトウェアの活用が最も効果的です。
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IVTに関するよくある質問
無効なトラフィックとは何ですか?
無効なトラフィックとは、購買につながる可能性のない、人間以外によるトラフィックの総称です。これには悪質なボットだけでなく、無害なクローラーなども含まれるため、一般的に無効なトラフィック(GIVT)と、高度に巧妙な無効なトラフィック(SIVT)に分けて考えられます。
GIVTとは何ですか?
GIVT(一般的に無効なトラフィック)とは、検索エンジンのクローラーなど、害のないボットによるトラフィックのことです。アクセス時に自らがボットであることを示しているため、標準的な検出ツールで簡単に除外できます。
SIVTとは何ですか?
SIVT(高度に巧妙な無効なトラフィック)とは、不正行為を目的としたトラフィックのことです。人間のトラフィックを装うように設計されているため、検知するのが非常に困難です。
IVTはどのようにブロックできますか?
手動での対策には限界があります。防ぐためには、fraud0のような信頼できる高機能なセキュリティツールの導入をお勧めします。
Webサイト内のIVTの割合はどのくらいですか?
データ分析によると、全インターネットトラフィックの半数以上(57%)がボットなどの自動化ツールによるものです。当社の調査では、広告クリックの約16%が無効なトラフィックに該当することが分かっています。




