アフィリエイトマーケティング詐欺とは
アフィリエイトマーケティングは、Webサイトへのアクセスを増やし、売上を伸ばし、顧客基盤を構築するための非常に効果的な手法です。アフィリエイトによって、通常ではあなたのWebサイトを知ることのなかったような顧客にアプローチできます。広告主の81%と媒体社の84%が、マーケティング戦略の一部としてアフィリエイトを導入しているのも納得です。
その効果は数字にも表れています。2016年のアフィリエイトマーケティングは米国EC注文の16%を占め、ソーシャルコマースやディスプレイ広告を上回る実績を残しました。
また、媒体社もその報酬に依存しています。デジタルメディア業界の収益の約15%はアフィリエイトによるものです。
しかし、ビジネスに多くの機会をもたらす一方で、リスクがあることも忘れてはなりません。お金が動くところには、必ずと言っていいほど詐欺師が忍び寄るからです。
この記事では、アフィリエイト詐欺とは何か、その一般的な手法、そしてキャンペーンデータから不審な兆候を見つける方法を詳しく解説します。

アフィリエイト詐欺の定義
「アフィリエイト詐欺とは、アフィリエイトプログラムから不当に報酬を得るために行われる、あらゆる虚偽行為や不正行為を指します。また、プログラムの利用規約で明示的に禁止されている行為を行うこともこれに含まれます。」 (Investopedia)
簡単に言うと、詐欺師が偽の成果(コンバージョン)を捏造することを指します。その手法はさまざまで、CPM(インプレッション課金)、CPC(クリック課金)、CPL(リード課金)、CPA(成果報酬)など、課金モデルに合わせて多様なアプローチが悪用されています。
代表的なアフィリエイト詐欺の手法
アドフラウド(広告詐欺)の多様な手法と同様に、アフィリエイト詐欺でも、トラッキングやラストクリック計測の仕組みを悪用して不当な報酬を得ようとする手法が開発されており、マーケターや企業の利益に大きな打撃を与えています。
1. クッキースタッフィング(クッキードロッピング)
「クッキースタッフィング」は、ユーザーがアフィリエイトサイトを訪れた際、本人の知らないうちに様々な広告主のクッキーをブラウザに大量に仕込む手法です。その後、ユーザーが該当する広告主のサイトで商品を購入すると、アフィリエイターがサイト誘導に一切貢献していなくても報酬が発生します。関与していない広告活動に対して対価が支払われることになります。
最も有名な事例は2014年、オンラインマーケティング会社Digital Point SolutionsのCEOであるShawn Hogan氏が、eBayから2,800万ドル(約30億円)相当の報酬をだまし取ったとして、5ヶ月の禁錮刑に処された事件です。
以下の図は、1つのページが非表示のiFrameやポップアンダーを使い、裏で100近い別のページを読み込ませる例です。ユーザーが気づかないうちに、これらのページを経由してアフィリエイトIDを含むクッキーが強制的に書き込まれます。

2. ブラウザツールバーと拡張機能
上記のクッキースタッフィングと同様に、ツールバーや拡張機能の提供者が「割引クーポン」などの特典をアピールしつつ、裏でユーザーのブラウザにこっそりクッキーを仕込む手法です。違いは、ユーザーが特定のアフィリエイトサイトを訪問していなくても、日常的にブラウザを使うだけでクッキーが書き込まれてしまう点です。
2019年の著名な事例では、Google Chromeウェブストアにあった2つの偽広告ブロック拡張機能(週間アクティブユーザー数160万人以上)が、Booking.comやAliexpress、Teamviewerなど300以上の人気サイトのクッキーを勝手に挿入していたことが判明しました。
2. ブラウザツールバーと拡張機能
上記のクッキースタッフィングと同様に、ツールバーや拡張機能の提供者が「割引クーポン」などの特典をアピールしつつ、裏でユーザーのブラウザにこっそりクッキーを仕込む手法です。違いは、ユーザーが特定のアフィリエイトサイトを訪問していなくても、日常的にブラウザを使うだけでクッキーが書き込まれてしまう点です。
2019年の著名な事例では、Google Chromeウェブストアにあった2つの偽広告ブロック拡張機能(週間アクティブユーザー数160万人以上)が、Booking.comやAliexpress、Teamviewerなど300以上の人気サイトのクッキーを勝手に挿入していたことが判明しました。
3. アプリインストールの成果横取り(アトリビューション詐欺)
アトリビューション詐欺はクッキースタッフィングと似ていますが、主にモバイルアプリのインストールを対象としています。詐欺師は、実際には自分が貢献していないアプリインストールの手柄(成果)を盗もうとします。アトリビューション測定プラットフォームを騙し、自然流入や他メディアによるインストールを「自分の成果」として認識させ、一般的に採用されている「ラストクリックモデル」を悪用します。
2020年初頭、Googleは中国企業Cheetah MobileとKika Techのすべてのアプリをストアから削除しました。両社は、ユーザーがアプリをインストールした際に報酬を得るため、アトリビューション情報を不正に送信する「クリックインジェクション」や「クリックフローディング」を行っていました。このデベロッパーのアプリ累計ダウンロード数は20億回を超えていたため、大きなニュースとなりました。
また、Uberもこの被害に遭い、7,000万ドル(約75億円)を詐取されました。元Uberパフォーマンスマーケティング統括のKevin Frisch氏は次のように語っています。
「有料広告経由のインストールが急増した一方で、全体のインストール数には全く変化がありませんでした。詳しく調べると、有料チャネル経由とされていたインストールの多くが、実は自然流入だったのです。月間アクティブユーザー数が1,000人しかいないアプリから、なぜか35万回ものインストールが発生しているなど、不自然なデータが続々と見つかりました。さらに詳しく分析すると、ユーザーが広告を見てから2秒以内にアプリをダウンロードして起動しているという、物理的に不可能なデータもありました。これが、成果横取りの詐欺だと気づいた瞬間です。」 (Kevin Frisch @ Marketing Today Podcast)
AppsFlyerの分析によると、アプリインストールの25.9%に何らかの不正行為(架空のインストールや成果横取りなど)が絡んでいるとされています。
4. タイポスクワッティング
タイポスクワッティングとは、広告主のドメインのスペルミス(打ち間違い)を狙ったドメインをアフィリエイターが登録し、そこへ誤ってアクセスしたユーザーを広告主の正規サイトへ即座にリダイレクトする手法です(Moore and Edelman, 2010)。広告主がこれらのドメインを保護していない隙を突き、自身は何の宣伝活動もせず、リダイレクト時にクッキーを植え付けて報酬を騙し取ります。
5. 複数ASPホッピング
複数のアフィリエイトネットワーク(ASP)に登録している広告主のみを狙う手法です。詐欺師はすべてのネットワークにアフィリエイターとして登録し、すべてのネットワークのクッキーをユーザーに仕込むことで、1回の購入から重複して複数の報酬を得ようとします。
6. 偽リードの生成(リード詐欺)
リード(会員登録や資料請求など)単位で報酬が支払われるキャンペーンにおいて、架空の個人情報や購入したリストを用いて登録を量産する手法です。フォームへの自動入力にはボットが使われることが多々あります。
詐欺師は登録のたびに報酬を受け取り、広告主がそのデータが偽物であると見抜く前に(またはチェックし忘れることを期待して)逃げ切ろうとします。
7. 偽決済(取引詐欺)
不正に入手したクレジットカード情報を悪用して大量の偽取引を行い、アフィリエイト報酬をだまし取る手法です。当然、後から決済の取り消しやチャージバックが発生しますが、その時点ですでに報酬は詐欺師に支払われてしまっていることが少なくありません。
8. ブランドキーワードの入札と広告の乗っ取り
広告主のブランド名や会社名を装う手法です。Google広告などに出稿されている有名ショップの正規広告をコピーし、アフィリエイトリンクを仕込んで出稿します。ユーザーがその広告をクリックすると、詐欺師のクッキーが有効になった状態でショップへと遷移します。
正規サイトよりも上位に広告を表示させるため、正規よりわずかに高い上限クリック単価(CPC)が設定される傾向があります。
9. スパムメール
大量に配信されるスパムメールにアフィリエイトリンクを記載する手法です。受信者がリンクをクリックするとクッキーが有効になり、クッキースタッフィング同様、本質的なプロモーション活動をしていないにもかかわらず報酬が発生します。
アフィリエイト詐欺を見破るチェックポイント
アフィリエイト詐欺の被害に遭っている可能性を示す、いくつかの不審な兆候をご紹介します。以下のようなデータがないか定期的に確認しましょう。
1. キャンペーン成果の突発的かつ不自然な急増
キャンペーンのパフォーマンスが急伸することは一見喜ばしいことですが、手放しで喜ぶ前に疑ってかかる必要があります。特に、あなた自身やパートナー側で新しいクリエイティブの追加や大きな変更を行っていない場合は注意が必要です。
リード獲得キャンペーンで急激な登録増があった場合は、すぐにCRMで登録内容を確認してください。また、特定のアフィリエイターからのアクセスが急増した場合は、アナリティクスツールでユーザーの行動履歴に不自然な点(直帰率100%など)がないかを確認しましょう。
急激なデータ変動は常にモニタリングし、調査を行う必要があります。
2. ユーザーの生涯価値(LTV)が極端に低い
獲得したユーザーや顧客のLTVを常に把握しましょう。新規登録数は非常に多いにもかかわらず、その後のアプリ内アクティビティや購入アクションが「ほぼゼロ」である場合、アフィリエイト詐欺の疑いがあります。
3. 対象外の地域からの不自然なトラフィック
アフィリエイター経由のトラフィックを地域別に分析しましょう。自社ビジネスが日本国内向けで、主に日本のユーザーをターゲットにしているにもかかわらず、海外からのアクセスが突発的に急増している場合は不正トラフィックの可能性があります。
アフィリエイト詐欺からビジネスを守るために
アフィリエイトマーケティングはビジネスに大きな可能性をもたらします。しかし、他の広告チャネルと同様、不正対策は不可欠です。イリノイ大学の調査によると、Amazonアフィリエイトプログラムに参加するパートナーの38.1%に不正への関与が見られたと推定されています。
被害を防ぐために、アフィリエイトプログラムの明確なガイドラインを定め、ブランド名に近いスペルミスドメインはあらかじめ自社で取得し、ブランドキーワードによるリスティング入札を禁止しましょう。さらに、提携するアフィリエイターを事前に厳しく審査し、定期的にレポートを確認して不審な動きがないか監視することが重要です。




