Performance Max(PMax)は、機械学習を活用してGoogleの全ネットワークに広告を配信する、Google 広告のオールインワン型キャンペーンです。しかし、そんなうたい文句はすでに何度も耳にしているのではないでしょうか。
PMaxについては、多くの議論が行われています。透明性の低さゆえに運用リスクが高いという声も少なくありません。予算がどこに使われ、何が実際に成果につながっているのか、不透明な部分が多いからです。
それでもPMaxを試してみたい、あるいはすでに運用しているという方のために、キャンペーンを最適化する方法があります。このガイドでは、より確実なアプローチをとるための重要な知見と戦略をご紹介します。そして最も重要なこととして、Webサイトへのアクセスを測定し、本当に価値のある本物のユーザーにリーチできているかを検証することをおすすめします。
需要を確実に捉える:明確な目標とコンバージョンの設定
PMaxを開始する前に、コンバージョントラッキングの設定とキャンペーンの目標を再確認しましょう。PMaxに対して、どのような成果を「成功」とするかを明確に定義することが重要です。キャンペーンの目標CPA(目標顧客獲得単価)や目標ROAS(目標広告費用対効果)の入札戦略は、設定された数値を目指して徹底的に稼働します。
そのため、現実的で利益につながる目標を設定し、データが集まるにつれて微調整を行いましょう。目標設定が曖昧であったり、補助的な指標を最適化対象にしていたりすると、PMaxはその指標に合わせて最適化を行ってしまい、期待外れの成果に終わる可能性があります。
より強力な広告で成果を高める:高品質なクリエイティブアセットの提供
PMaxキャンペーンを最適化するには、多様な見出し、説明文、高品質な画像、そして(可能であれば)自社の動画を含む、豊富なクリエイティブアセットを用意しましょう(動画がない場合、Googleが自動生成しますが、汎用的なものになりがちです)。魅力的な動画や画像は、特にYouTubeやディスプレイネットワークにおいてパフォーマンスを向上させます。
効果の高いクリエイティブを特定したら、今後の展開でもそのテーマを横展開していきましょう。クリエイティブの品質は、クリック率やコンバージョン率に直接影響します。PMaxの自動化であっても、魅力に欠ける広告をカバーすることはできません。
AIを正しい方向へ導く:オーディエンスシグナルの活用
キャンペーンの設定時には、PMaxの学習を迅速に進めるためにオーディエンスシグナルを追加しましょう。これらのシグナルはAIがコンバージョンに至りやすいユーザーを見つける手がかりとなりますが、厳密なターゲティングとは異なります。効果的な方法としては、顧客リスト(過去の購入者など)のアップロード、関連性の高いキーワードに基づくカスタムインテントやカスタムセグメントの利用、自社製品にマッチするGoogleのインマーケットやアフィニティオーディエンスの追加などが挙げられます。例えば、「ホームフィットネス器具の購買意向の強いユーザー」を追加することで、ターゲティング精度を高められます。
ただし、シグナルを詰め込みすぎないよう注意しましょう。多ければ良いというものではありません。自社のファーストパーティデータを筆頭に、十分に調査されたカスタムセグメントなど、質の高いシグナルに絞り込むことがポイントです。新規顧客の獲得が目的であれば、「新規顧客獲得」の設定を有効にし、既存顧客を除外しましょう。
無駄な支出を防ぐ:ブランドとキーワードのプロアクティブな管理
ブランド価値を守り、PMaxのパフォーマンスを最適化するために、ブランド除外設定を利用して、自社のブランド名に関連するキーワードでの広告表示を防ぎましょう。さらに、Google 広告では以下の3種類のキーワード除外が可能です。
コンテンツ除外
PMaxキャンペーンにおけるコンテンツ除外を活用することで、ブランドイメージやキャンペーン目標にそぐわないコンテキストに広告が表示されるのを防ぐことができます。これは、ブランドの安全性を維持し、不適切、物議を醸す、または関連性のないコンテンツの横に広告が表示されないようにする上で、特に有効です。

アカウントレベルでの除外キーワード
特定のキーワードを指定して除外することで、ユーザーがそのキーワードで検索した際に広告が表示されないようにします。ブランドキーワードのほか、「無料」や「求人」といった関連性のない一般的なキーワードも除外することを検討しましょう。PMaxの「検索語句のインサイト」レポートを定期的に確認し、不要なテーマを見つけて除外キーワードに追加してください。

キャンペーンレベルでの除外キーワード
特定のキャンペーン内において、特定の検索語句を確実に除外します。

Googleはアップデートを実施し、PMaxキャンペーンレベルにおける100個の除外キーワード制限を撤廃しました。以前、この上限は広告主のコントロール権とPMaxの自動最適化のバランスをとるために設けられていましたが、Googleはこの方針を転換し、広告主にさらなる選択肢を提供する形をとったようです。
これにより、広告主は何百もの除外キーワードを追加できるようになり、ターゲティングや広告費のコントロールをより細かく行えるようになりました。
広告の配信先をコントロールする:低品質・無関係なサイトの除外
PMaxでは個別のプレースメントごとの管理はできませんが、アカウントレベルでプレースメントを除外することは可能です。
広告が実際にどこに表示されたかを確認するには、プレースメントレポート(「インサイトとレポート」->「レポートエディタ」->「Performance Max campaign placement(PMaxキャンペーンのプレースメント)」)を確認します。

モバイルアプリなどの低品質なプレースメントを除外するには、「ツール」->「コンテンツの適合性」->「除外設定されたプレースメント」に移動し、除外したい特定のプレースメント(アプリ、Webサイト、YouTubeチャンネル)を追加します。例えば、adsenseformobileapps.comを追加するか、アプリのカテゴリ除外オプションを使用することで、すべてのアプリや「ゲームアプリ」などの特定カテゴリをブロックできます。
質の低いプレースメントを除外することで、PMaxはよりパフォーマンスの高い広告枠に注力できるようになります。また、ブランドの安全性のために、デリケートなコンテンツカテゴリ(成人向けコンテンツなど)を除外することも可能です。

明確なキャンペーン構成:セグメンテーションによる成果の向上
単一のPMaxキャンペーンですべてをカバーしようとせず、目標ごとに複数のキャンペーンやアセットグループに構成を分けることを検討しましょう。例えば、製品カテゴリやブランドごとに個別のキャンペーンを作成することで、予算配分を最適化し、成果を高めることができます。これにより管理が容易になり、特定の目標に合わせた運用ができるため、より高いROASを期待できます。
重複を避けるために、明確な製品セットやオーディエンスごとにセグメント化しましょう。ショッピングフィードの在庫フィルターを使用するか、アセットとオーディエンスのグループを整理します。アセットグループは、「ビジネスユーザー向け」と「一般消費者向け」のように、テーマやオーディエンスごとに分けて整理してください。なお、PMaxではアセットグループごとに異なるROAS目標や予算を設定することはできないため、セグメントの目標が大きく異なる場合は、別のキャンペーンに分ける必要があります。
パフォーマンスを常に把握する:インサイトとデータの継続的なモニタリング
PMaxは「設定したら終わり」のキャンペーンではありません。Google 広告のインサイトページを定期的にチェックし、検索トレンド、オーディエンスインサイト、アセットのパフォーマンスに関するデータを確認しましょう。アセットの詳細(組み合わせ)レポートでは、どの広告の組み合わせ(見出し、画像、説明文など)が最も効果を上げているかがわかるため、クリエイティブの改善に役立ちます。
インサイトタブから確認できる「検索語句のインサイト」では、広告を表示させるきっかけとなった検索クエリがわかります。「自社ブランド関連のクエリ」や「競合他社のキーワード」といったグループに注目し、除外キーワードの追加や個別キャンペーンの作成に役立てましょう。また、予算の消化ペースやコンバージョンの推移もモニタリングしてください。もしPMaxが予算を大幅に消費しているにもかかわらずコンバージョンが増えていない場合は、パフォーマンスの低いチャネルに予算が流れていないか詳しく調査しましょう。
さらに、PMaxが検索キャンペーンやショッピングキャンペーンなど、他のキャンペーンと重複していないかも確認してください。インプレッション数や売上が予期せず減少した場合は、それらのキャンペーンの入札単価を調整するか、PMaxの方が効率的である場合は移行を検討しましょう。重要なのは、利用可能なデータとインサイトを活用して、平均値の罠に陥ることなく、キャンペーン内の非効率性や無駄に的確に対処することです。
最後に:PMaxを正しく活用するために
ご紹介したすべてのテクニックを活用してキャンペーンを最適化すれば、予算を最大限に活かし、パフォーマンスを向上させることができます。しかし、Performance Maxを運用する際は、数値をそのまま鵜呑みにしないよう注意が必要です。
PMaxでは、アクセスが実際にどこから来ているのかが不透明になりがちで、レポート上の数値が見かけ上だけ良く見えることがあります。だからこそ、PMaxがもたらすアクセスの質を「fraud0」などで測定することが不可欠です。そうして初めて、それがキャンペーンにとって本当に効果的なツールなのか、それとも数値が膨らまされているだけのブラックボックスなのかを正しく判断することができます。




